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クロスカレンツとは
クロスカレンツは、過去半世紀に渡る日米両国の社会と文化の歴史に関するマルチメディア資料を提供する日英両語による教育ウェブサイトです。このサイトは、日米二つの社会がいかに交流し影響しあったか(二国間の「クロスカレンツ」)という点にスポットライトをあて、両国の相似・相違点を比較的にとらえ、互いに向けて流れる文化的影響をユーザーに発見してもらうことによって、日米間の相互理解を促進することを目的としています。サイト内の資料は、日本、アメリカ、そして両国間の「クロスカレンツ」という3つの平行した流れによって構成されています。
当プロジェクトは、日米両国の学生および一般の人々の利用に向け、日米文化教育交流会議(CULCON、以下カルコン)によって立ち上げられた二カ国共同プロジェクトです。ハワイ大学のチームが日本のチームと協力してウェブサイトの作成を行っています。
プロジェクトの背景およびスポンサー
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数年前、日米両政府がスポンサーを務めている二カ国構成の組織である日米文化教育交流会議(カルコン)により、当プロジェクトの必要性が指摘されました。カルコンのメンバーは日米関係について専門知識と関心を持つ民間人のなかからそれぞれの政府によって任命され、1962年以来、2年ごとに会議を重ねて文化と教育における日米関係をいかにして向上・促進できるか話し合ってきました。1990年代に入ってカルコンはより積極的な姿勢を取り始め、日米関係における文化と社会面に見られる具体的な問題を提起し、実際に取り組むための共同プロジェクトを開始しました。 ( カルコンのウェブサイト: アメリカ / 日本 )
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1999年2月に沖縄で開かれたカルコン第19回合同会議では、過去50年間の日米の教育・文化関係に関する中高生以上の学生を対象としたデジタル教材の必要性が指摘されました。このため「デジタル文化ワーキンググループ」が組織され、アメリカ側の共同委員長としてキャロル・グラック先生、日本側の共同委員長としては岩男壽美子先生が選ばれました。この年、サンディエゴ州立大学とボブ・ホフマン博士に資金が提供され、デジタル文化資料の定義を明確にし、次回カルコン合同会議のための短いデモビデオのデザインを作成して同グループをサポートするよう依頼されました。
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その結果、2001年6月にロスアンジェルスで開かれたカルコン第20回合同会議でクロスカレンツと名づけられた当プロジェクトの全面的開発が承認され、アメリカ側が資金調達および開発の実施において中心的役割を担うことになりました。この時点で、既にアメリカ側カルコンの委員会メンバーとデジタル文化ワーキンググループのメンバーの多くは入れ替わっていました。パトリシア・スタインホフ先生がアメリカ側カルコンの一員に任命され、開発実施段階におけるデジタル文化ワーキンググループ・アメリカ側共同委員長に就任するよう要請されました。日本側からは、小笠原敏昌ジャパンタイムズ代表取締役会長が同グループ共同委員長として就任しました。
翌年2002年、デジタル文化ワーキンググループの監督下で日本チームと協力してクロスカレンツ・ウェブサイトを開発するアメリカ側のチームとして、アメリカ・カルコン委員も兼任する 日米友好基金 12名のパネリスト(民間人9名と政府省庁次官補レベル2名から成る) は、ハワイ大 学のチームを選びました。この日米合同チームがウェブサイトの最初のテーマを開発、2003年11月に仙台で開催されたカルコン第21回合同会議で発表しました。日米のカルコンパネルメンバーは発表結果に大変満足して承認し、デジタル文化グループはその目的を果たして解散、かわってより小規模の監督委員会がウェブサイトの開発を推進するために設けられました。この監督委員会には、東京大学の能登路雅子先生、国際交流基金・常務理事の吉野草平氏、ハワイ大学のパトリシア・スタインホフ先生、アイオワ大学のリンダ・カーバー先生がメンバーとして参加しており、能登路先生とスタインホフ先生が監督委員会の共同委員長として引き続きウェブサイトの開発を指導しています。
ウェブサイト制作の経緯
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デジタル文化ワーキンググループのメンバーと二つの制作チームは、プロジェクトを実施するため2002年6月ハワイでミーティングを開きました。それまでに描かれてきた構想の大枠にそって「仕事」のテーマから始めることで合意が得られ、ハワイと日本の制作チームは日米友好基金からの立ち上げ資金を基にクロスカレンツ・ウェブサイト作成に乗り出しました。
データベースを基礎としたインタラクティブなウェブサイトを目指し、制作チームは日英両語による説明文、内容に関連する写真や映像、および日英両語によるテキストの音声朗読からなる二カ国語ユニットを構成単位として、サイトを構成しました。パトリシア・スタインホフ先生はマイクロソフト・アクセスを用いてウェブサイトコンテンツを収用するデータベースをプログラムし、コリン・マクドナルド先生がプロトタイプをもとにウェブページを改良、ウェブ・プログラマーのレスリー・ウィリアムズが現行のウェブサイトを作り上げました。また、カリキュラム開発の専門家であるノーレン・ラッシュが内容文を執筆する一方、スザンヌ・アコードはリンダ・メントン先生の指導のもとでマルチメディア資料の収集を行いました。日本側では、武山政直先生がウェブサイト用のマルチメディア資料の作成を始めました。加えて日本チームは毎日フォトバンクから得た80の写真画像に対する特許権使用料のための助成金を国際交流基金より取得、能登路雅子先生と学生たちがウェブサイトにふさわしい歴史写真を検索しました。
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2002年11月に開かれたデジタル文化ワーキンググループの第二回会議では、ハワイチームは、以前にプロトタイプ制作のために集められたコンテンツを用いて実際に機能するインタラクティブなバイリンガル・ウェブサイトを披露するまでに至りました。日米友好基金からの新たな助成金を受けて2003年にはハワイ大学の大学院生が制作チームに参加、メントン、スタインホフ両先生の指導のもとで新しいコンテンツの作成と翻訳を行いました。現在までに、山本僚子、マイケル・ジャシンスキー、セバスチャン・ブランコ、河田悠里, 竹川俊一, ブライアン・マスハートが内容文を執筆に関わり、東久保和美、児島真爾、竹川俊一, 浦野慶子が翻訳を行いました。また、セバスチャン・ブランコ、マイケル・ジャシンスキー、ジェームス・スティールがマクドナルド先生の指導のもとでマルチメディア資料を収集、デジタルイメージの処理を行う一方で、スザンヌ・アコードとセバスチャン・ブランコは版権使用許可の獲得に従事しました。
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プロジェクトのメンバーであり、ハワイ大学付属高校教員でもあるラッシュとアコードは、コンテンツの個々のユニットに補助的デジタル資料が追加出来るようウェブサイトをデザインし直すことを提案しました。この提案を受けて、レスリー・ウイリアムズがプログラマー、トーマス・シン・チェンの助力を得てウェブサイトをプログラムしなおし、バイリンガル機能を高めました。これらの改善点は2003年6月ホノルルにて開かれた第三回デジタル文化ワークグループの会議にて発表されました。日本カルコンメンバーである幸地晶子は今現在日本で使われている高等学校用教科書を研究し、具体的にいかにクロスカレンツが日本の学校のカリキュラムに貢献できるか提案しました。補助的マルチメディア資料のためのスペースが加わったサイトをより有効なものにするため、山本僚子がバイリンガルの図表・地図の作成に取り組みました。
2003年11月に仙台で開かれたカルコン第21回合同会議での「仕事」のテーマ完成発表に備え、2003年の秋にはウェブサイトの色彩設計が一新され、バーチャル・リアリティ映像がマルチメディア資料としてサイトに追加されました。二人目のプログラマーとしてチームに参加した黄業堅は、これら新規コンポーネントのデータベースをプログラムしたスタインホフ先生との密接に連携し、バイリンガルのサーチ機能、用語集、サイトマップ、演習機能を開発しました。日本では、武山先生と学生たちがバーチャル・リアリティ資料を提供し、改良の必要な点をチェックしてウェブサイト・デザインの改善に協力しました。また能登路先生と学生たちはホノルルで書かれた内容文をチェックし、日本に関する資料の事実確認を行いました。
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内容文が日本チームのメンバーによってチェック・承認されたのち、ホノルルでコリン・マクドナルド先生とポール・サソの指導の下で内容文の日英両語による音声録音が行われました。コリーン・ランキが英語文を、石田一統が日本語文を読み、石田みどりが日本語文録音のモニターを務めました。
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2003年秋および2004年春にハワイではハワイ大学と同大付属高校の学生、日本では慶応大学の学生を対象として、ウェブサイトの内容がテストされました。マクドナルド先生のマルチメディアデザイン講座、ウェブサイトデザイン講座の学生、武山先生のコンピューター情報講座の学生、スザンヌ・アコードのハワイ大学付属高校の学生がウェブサイトの機能を試す一方、スタインホフ先生の日本社会論講座の学生たちはサイトの教育面での有用性を試しました。試験運用に参加した学生達には、共通の質問紙を用いてサイトを評価しました。行った作業は異なるものの、学生たちは同じ設問にそって作業を行いました。試験運用での設問は後に「演習」としてウェブサイトに掲載され、サイトを用いた教育用演習問題としてのプロトタイプとなりました。
2004年には次の二つのテーマ「家族と日常生活」および「1年の文化サイクル」の制作が始まりました。これらのテーマは中学校の授業でも使えるように、より平易な言葉で書かれています。
2007年以後、ハワイチームは日米友好基金の助成を受けながらスタインホフ先生の下でウェブサイト制作と管理を行ってきました。ハワイ大学大学院生である児島真爾、五十嵐洋己、中村明美、山里絹子がこの間プロジェクトに携わりました。2008年には、日本のある教員からの助言に応える形で、サイト上の日英両語音声ファイル全てをダウンロードできるようにポッドキャスト・ファイルが作成されました。これら音声ファイルは現在ダウンロード可能となっています。サイト上部のナビゲーションバーから直接アクセスするか、個別コンテンツのページよりダウンロードできます。
クロスカレンツ・プロジェクトの参加者
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パトリシア・スタインホフ |
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黄業堅 |
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児島真爾 |
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ノーレン・ラッシュ |
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コリン・マクドナルド |
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ジェームズ・スティール |
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リンダ・メントン |
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山本僚子 |
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セバスチャン・ブランコ |
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スザンヌ・アコード |
クロスカレンツへの資金提供
クロスカレンツ・プロジェクトは以下の団体の資金提供を受けて開発・運営されています。
技術面について
クロスカレンツ・ウェブサイトは ASP およびビジュアル・ベーシックでプログラムされており、マイクロソフト・アクセスのデータベースと連動しています。このサイトはハワイ大学社会科学部のウィンドウス2003サーバーに設置されており、ユニコード対応のソフトウェアを用いて完全な日英バイリンガルで作られています。
第3回デジタル文化ワーキンググループ会議(2003年6月、ホノルルにて) |
文字の異なる複数の言語によるバイリンガルのサーチにともなう問題を克服するため、サーチ機能はテキスト全文ではなく各ユニットのタイトルを検索する形になっています。さらに、英語、漢字、かな、および3つのスタイルのローマ字表記で用語検索の可能な「用語集」が、サーチ機能に対する補完的な役割を果たしています。
サイトの主な対象者が母国語で視聴する学生達であることを考慮し、クロスカレンツでは日本語も英語も自然な文章で書かれていることを重視しました。一語一句直訳するやり方では翻訳文が不自然になってしまうということで、この方法はすぐに改められました。また、文化的な背景の違いに対応するためには、原語文と翻訳文が多少異なることもやむをえないと判断されました。同様に、視覚障害者のために全ての画像について設けられている補助テキストの内容および用語集の定義は、日本人ユーザー・アメリカ人ユーザーの両方に自然な言葉で最も有用な情報を提供するために、英語・日本語別々に執筆されました。言語を学ぶためにこのサイトを訪れるユーザーにとって、こうした表現の違いが学習体験となり、異文化についての理解を深めるきっかけとなることを願っています。
著作権について
クロスカレント・ウェブサイトの全ての内容は著作権法により守られています。収録されている全ての写真には、著作権保持者の情報が併記してあります。著作者が明記されていない文書およびその他の素材の著作権は、クロスカレント・プロジェクトに属します。教育機関あるいは個人による教育目的の使用以外の目的でクロスカレント・ウェブサイトの掲載内容を使用する場合には、当該する著作権保持者から事前に許可を得ることが必要です。
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